設備投資した固定資産の減価償却と資金繰りについて記載します。

固定資産の減価償却

設備投資により固定資産を購入しても全てが購入した期の経費になるわけではありません。
税法で固定資産ごとの耐用年数(寿命)が定められておりその耐用年数に基づいて算出した金額が減価償却費として経費となります。

例えば、期首に耐用年数20年(※)の資産を100,000で購入したとします。
定額法で償却するとその期に経費となるのは100,000÷20年=5,000となります。

このようにその期の経費となるのは購入した固定資産の内の一部です。

※固定資産の耐用年数は税法で定められています。また減価償却の方法も定額法や定率法等があります。

 

減価償却が必要な理由

減価償却が必要な理由は毎期の損益を適正に計算するためです。
通常、固定資産は購入してすぐに価値が0になるのではなく、長期的に使用して少しづつ価値が減少していくものです。
そのため税法で固定資産の寿命(耐用年数)を定めて、その耐用年数の期間で価値が0になるように徐々に経費にしていくのです。

例えば機械を100,000で購入し、機械で製造した製品を年間7,000販売する事業を始めるとします。
※機械の耐用年数は20年とします。

ケース1

・減価償却を行わず購入した時に全額を経費にした場合

減価償却①

2年目も全く同じ事業を行っているにも関わらず、1年目と2年目で利益の金額が異なります。
これは購入した1年目に機械の全額を経費にしている、つまり機械の価値を1年目で0にするという処理です。
2年目も機械を使用して製品を製造しているにも関わらず1年目で機械の価値を0にするのは実態に合っていません。

 

ケース2

・減価償却を適用した場合(20年の定額法)

減価償却②

減価償却を行うことによって、機械の価値が毎年少しづつ減少していく様子を適切に表すことができます。

 

固定資産の減価償却と資金繰り

固定資産の減価償却は借入金の返済を検討する上で重要な指標となります(詳しくはページ末尾の関連記事ご参照)。

借入金の返済は「税引後利益+減価償却費」を原資として行います。
固定資産の耐用年数が長ければ長いほど毎期に減価償却費として経費に出来る金額が減少し、借入金の返済原資が少なくなってしまうのです。

借入金により固定資産の購入を行う場合は返済可能かしっかりとシミュレーションすることが大切になります。

 

 

減価償却のできない固定資産

減価償却のできない固定資産もあります。
例えば、新しくお店を構えて商売を始めるとします。
その場合に貸主に支払う敷金や保証金等で将来に支払った全額が返還されるものについては減価償却することができません。

この敷金や保証金も金融機関から借入をして支払ったとすると、返済原資に減価償却費を加算できませんので、全て税引後利益から返済する必要があります。
よって減価償却できない固定資産に投資する場合は税引後利益のみで借入金を返済できるか検討する必要があるでしょう。

 

【関連記事】
借入金の返済原資の考え方
借入金の返済期間と設備投資の耐用年数の関係

 

 

【免責事項】
・本記事は内容を理解しやすくするために例題等を一部簡略化しています。実際に会社で固定資産を購入した場合の耐用年数や償却方法は専門家に確認下さい。
・当サイトに掲載された情報については、充分な注意を払っておりますが、その内容の正確性等に対して、一切保障するものではありません。
・当サイトに掲載されている情報の全部又は一部を予告なく変更する場合がございます。
・当サイトの利用で起きた、いかなる結果について、一切責任を負わないものとします。