少し前の話になりますが、馬券で得た利益が一時所得に該当するか雑所得に該当するか争われた裁判がありました。

従来、馬券で得た利益は馬券購入行為の態様や規模に関わらず一時所得して取り扱っていました。しかしこの時の判決で雑所得として扱うケースもあるとなりました。

今回は馬券で得た利益はどのようなケースで雑所得となるのか、また雑所得になると所得計算上どのような影響があるのかを確認します。

 

一時所得か雑所得か

営利を目的として継続的に馬券を購入して得た所得(※)は雑所得に該当し、それ以外のケースについては一時所得に該当します。

※具体的には下記のようなケースを言います(所得税基本通達34-1一部抜粋)
馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。

 

たまに競馬を楽しむ方は営利を目的として継続的に馬券を購入しているわけではないので一時所得に該当します。

 

一時所得と雑所得の計算方法

雑所得の計算方法

収入-経費=雑所得

 

一時所得の計算方法

収入-経費(収入を得るのに直接要した費用に限る)-50万円=一時所得
※税額計算の際に一時所得は2分の1にします。

一見すると一時所得は50万円の控除に加えて所得も2分の1になるので雑所得より有利に見えます。

しかし雑所得が有利なケースもあるのです。

それは雑所得は当たり馬券に加えて外れ馬券も経費に出来るのに対して一時所得は当たり馬券のみしか経費に出来ないためです。

 

まとめ

・馬券による利益は一時所得に該当する場合と、雑所得に該当する場合がある。
・雑所得に該当するのは営利を目的として継続的に馬券を購入する場合で、それ以外は一時所得となる。

 

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【参考条文等】

・所得税法第22条
・所得税法第34条
・所得税基本通達34-1

 

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