車両や機械などを中古で購入して事業を行うケースもあるでしょう。このとき、耐用年数はどのように計算するのでしょうか。
固定資産には法定耐用年数がありますが、それは新品時のものです。中古資産の場合、別途耐用年数を計算して減価償却費を計上する必要があります。
中古資産の耐用年数の計算方法とは
ビジネスを行う際、車両や機械などの中古資産を取得することがあるでしょう。そんなとき、経営者の方からよくご相談をいただくのが、中古資産の耐用年数の計算の仕方と減価償却の方法です。
車両や機械などの固定資産には、法定耐用年数があります。
例えば、営業用の普通自動車は6年、軽自動車は4年、食料品製造業用設備は10年、家具又は装備品製造業用設備は11年など、細かく定められています。
ただし、この法定耐用年数が適用されるのは新品で購入した場合です。中古の場合は、これから説明する計算式を用いて算出します。
1.法定耐用年数超過の中古資産を購入した場合
「中古資産の耐用年数=法定耐用年数×20%」
営業用の普通自動車を例にとって考えてみましょう。新車の法定耐用年数は前述した通り6年でした。
「新車の法定耐用年数(6年)×20%=1.2年」
「1.2年」と計算されますが、耐用年数が2年に満たない場合、「2年」となります。というわけで、このときの中古資産の耐用年数は「2年」です。
2.法定耐用年数未満の中古資産の場合
「中古資産の耐用年数=法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%」
新車登録から、3年4カ月経過した営業用の普通自動車を取得した場合を考えてみましょう。この場合は年数ではなく月数に直して計算します。
「中古資産の耐用年数=(72カ月-40カ月)+(40カ月×20%)=32カ月+8カ月=40カ月(3年4カ月)
得られた中古資産の耐用年数に1年未満の端数が生じた場合は、切り捨てとなります。つまり、この場合は「3年」となるわけです。
耐用年数をもとに減価償却費を計算する
耐用年数の計算方法がわかったところで、減価償却費の計算方法について見ていきましょう。その計算方法は「定額法」と「定率法」の2種類で、これらから計算方法を任意に選ぶことができます。
「定額法」と「定率法」の計算方法について説明します。
【定額法】
毎年均等額を減価償却費として計上する方法のことです。例えば、耐用年数が4年の普通自動車を50万円で購入した場合、毎年12.5万円(50万円÷4年)ずつ償却していくわけです。
定額法のメリットは非常にわかりやすく納得感のあることです。なるべく簡便に処理したいと考える企業に向いている計算方法です。
【定率法】
固定資産の価値の減少率を一定の数字で定め、計算する方法のことです。計算式は以下の通りです。
「減価償却費=未償却残高(取得価額-償却累計額)×償却率」
わかりにくいので実例を出して解説しましょう。ここでは耐用年数5年の食料品製造業用設備を100万円で購入した場合を考えてみます。このときの償却率は0.4となります。償却率は、財務省の「減価償却費の耐用年数等に関する省令」によって細かく定められています。
1年目:100万円×0.4=60万円
2年目:40万円×0.4=16万円
3年目:24万円×0.4=9.6万円
以下同様に続く・・・
なお、2012年4月1日以後に取得した固定資産の場合、5年目から定額法に切り替わることを覚えておきましょう。その理由は、償却率を掛けて計算しても残存価格が1円にならないからです。
財務状況や経営方針によって減価償却費の計上方法を使い分ける
「定額法」と「定率法」では、計上する減価償却費がずいぶん異なることをおわかりいただけたでしょうか。
「定額法」の場合、毎年同じ金額を計上する一方で、「定率法」では、年数を経過するごとに減価償却費の額が減っていきます。
つまり、会社の財務状況や経営方針によって、「定額法」と「定率法」を使い分けることが必要だということです。
負担を減らしたいと考えるなら「定額法」を使い、早めに減価償却費を行い、スリム化したいなら「定率法」を使うということです。
ここまで減価償却費の計算方法について説明してきましたが、中小企業の場合、「少額減価償却資産の即時償却」が活用できます。
固定資産の取得価額が30万円未満である減価償却資産を、2006年から2020年3月31日までの間に購入して事業に使用した場合、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産の合計価額が300万円に達するまで、その取得価額全額を費用として計上することができます。
つまり、2017年3月に20万円でプリンターを購入したケースでは、「定額法」や「定率法」での会計処理ではなく、即時償却も選択できます。即時償却は節税の際、活用価値のあるものです。財務状況に応じて利用を検討するとよいでしょう。
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