役員退職金は高額になることが多いため会社の資金繰りの都合上分割して支払いたい、という要望をよくお聞きします。
役員退職金を分割して支払った場合の税務上の取扱いについて記載します。
※役員退職金の損金算入時期について
分割支給は認められるか
結論から言うと役員退職金の分割支給は認められています。
しかし無条件に分割支給が認められているわけではありませんので、分割支給を行う場合は以下の点に留意しましょう。
・株主総会で役員退職金の金額、分割支給の時期、分割支給する理由について決議し、議事録を作成する(退職金計算書にも支給額と支給日を明確に記載します)。
・分割支給する理由が資金繰りの都合によるもの等、合理的な理由があるか(単に利益操作を目的としている場合は認められません)。
分割支給した場合の損金算入時期
役員退職金の損金算入時期は原則として株主総会の決議で具体的な支給金額を確定した時になります。
※詳細は役員退職金の損金算入時期をご参照
ただし、例外として損金経理をしていれば支払った事業年度に損金算入することも認められています。
よって分割支給を決議した事業年度に役員退職金の全額を損金にする方法と、分割して支払った都度損金に算入する方法の2つのパターンが考えられます。
支給時の源泉徴収の取扱い
まず役員退職金の支給総額に対する源泉徴収税額を算定します。
算定した税額を各回の支給額であん分し、そのあん分した税額を各回の支給時に源泉徴収することとなります。
【参考条文等】
・法人税法第34条
・法人税法施行令第70条
・法人税基本通達9-2-28
・法人税基本通達9-2-29
・所得税基本通達183~193共1
・所得税基本通達201-3
・会社法第361条
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