お客様から社長への貸付けを行いたいのですが、何か留意点はありますかとご質問頂きました。

中小企業は会社と社長のお金を混同しがちですが、あくまで会社は法人として社長のお金とは別に扱わなければなりません。

それでは社長に貸し付ける際の留意点を会社法と税法上の観点から確認しましょう。

 

会社法上の留意点

会社が社長への貸付を行う場合は株主総会(取締役会設置会社は取締役の承認)で承認を得る必要があります。
これは社長(役員)が株主に知られないところで自分のために取引を行い、会社(株主)に損害を与えるのを避けるために設けられています。

 

 

税務上の留意点

税務上会社が社長にお金を貸し付ける場合は特定基準割合以上の利率(※)で貸し付ける必要があります。
(※)平成28年の特定基準割合による利率は1.8%です。

特定基準割合より低い利率で貸付を行った場合には以下の3つの場合を除いて「特定基準割合の利率」と「実際に貸し付けた利率」との差額が給与として課税されることになります。

  1. 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
  2. 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
  3. 1及び2以外の貸付金の場合で、特定基準割合の利率と貸し付けている利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合

ただし会社が社長への貸付資金を銀行から調達する場合は、会社が銀行から調達した利率が基準となります。
⇒銀行から借り入れた利率より安い利率で社長に貸し付けると給与になるということです。

 

【参考条文等】
・会社法第356条
・所得税法第36条
・所得税法基本通達36-15
・所得税法基本通達36-28
・所得税法基本通達36-49

 

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