今回は重加算税について記載します。
重加算税とは
過少申告加算税(※)を支払う要件を満たしており、かつ納税者が申告書の提出にあたって事実を隠ぺい又は仮装していた場合に過少申告加算税に代えて課せられる罰金です。
つまり、当初提出した申告書に基づく納税金額が少ない場合において、事実の隠ぺい又は仮装がなければ過少申告加算税、事実の隠ぺい又は仮装があれば重加算税が新たに納める税金に対して追加で課されることになります。
(※)過少申告加算税は期限内に申告書を提出後に納税金額が少なかったことがわかり、修正申告書を提出する場合や税務署から更生された場合に新たに納める税金に追加で課される罰金です。
隠ぺい又は仮装とは
重加算税の要件は事実の隠ぺい又は仮装があった場合に限られます。
以下に該当例を記載します。
隠ぺい又は仮装に該当するケース
・二重帳簿を作成している
・帳簿書類をを破棄又は隠匿している
・帳簿書類の改ざん、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っている
・帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)や棚卸資産の除外をしていること
・特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。
・簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
・簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。
・同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。
隠ぺい又は仮装に該当しないケース
・売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度の収益に計上されていることが確認されたとき。
・経費(原価に算入される費用を含む。)の繰上計上をしている場合において、その経費がその翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。
・棚卸資産の評価換えにより過少評価をしている場合。
・確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。
重加算税の金額
過少申告加算税に代えて重加算税が課せられる場合は、原則として新たに納めるべき税金に対して35%を乗じた金額を重加算税として納める必要があります。
過少申告加算税が原則10%であることを考えると隠ぺい又は仮装を行った分、重加算税は重い罰金であることがわかります。
税務調査で重加算税と指摘されたら
税務調査の現場で重加算税と指摘されたら、本当に重加算税に該当するのかをよく確認しましょう。
重加算税に該当しないケースにも関わらず重加算税と指摘されることも多々あります。
重加算税は重い罰金です。
出来る限り回避出来るようにしましょう。
なお、重加算税に該当するか否かの例示は本記事でも記載していますが詳しくは「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」参照下さい。
【参考条文等】
国税通則法第68条
法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
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