損害賠償金として金銭を受領した場合、全てを非課税と考えてしまいそうですが実はそうではありません。

非課税となる損害賠償金とは

受領した損害賠償金がマイナスとなった損害を補填する場合に非課税となります。

具体的には以下のケースを言います。

①心身に加えられた損害について支払いをうける慰謝料等

②不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金等

③心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金

 

非課税とならない損害賠償金

ただし、例外として(1)必要経費を補填する性質の損害賠償金と、(2)事業用の棚卸資産(商品)の損失に対応して受領する損害賠償金は非課税となりませんので注意が必要です。

(1)必要経費を補填する性質の損害賠償金

<具体例>
個人事業主が商品販売を営む店舗に、Aが運転する車が過失により激突し店舗に被害が生じた。
個人事業主は営業を続けるために別の貸店舗を仮店舗として賃借して営業を継続した。
その賃借料相当額を車の運転手Aから受領した場合の損害賠償金

<なぜ非課税とならないのか>
個人事業主は仮店舗の賃借料を経費に算入することが出来ます。
受け取った損害賠償金を非課税にしてしまうと個人事業主は金銭的な支出がないのに、経費だけは計上することが出来てしまい、個人事業主に利益を与え過ぎてしまうからです。
よって、受領した損害賠償金は個人事業主の収入となります(賃借料の経費と合わせてプラスマイナスゼロ)。

 

(2)事業用の棚卸資産(商品)の損失に対応して受領する損害賠償金

<具体例>
個人事業主が営む商品販売業の商品を、Aが過失により使用不能にしてしまった。
Aが使用不能にした商品について販売金額を個人事業主に支払った場合の損害賠償金

<なぜ非課税とならないのか>
個人事業主からしてみれば、商品を販売して金銭を受領するのも、使用不能にされてしまった商品について損害賠償金を受領するのも、どちらも売るための商品を失い、代わりに金銭を得るという経済的実態が同じだからです。

よって、受領した損害賠償金は個人事業主の収入になります。

 

まとめ

・損失を補填するための損害賠償金を受領した場合は原則として非課税になる。
・ただし、事業用資産の損失を補填する損害賠償金は非課税とならないので注意が必要

 

 

 

【参考条文等】

・所得税法第9条
・所得税法施行令第30条
・所得税法施行令第94条
・国税庁タックスアンサー

 

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