起業家の方によく質問を受けるのが「創立費と開業費の違い」についてです。両者は同じように聞こえるかもしれませんが、まったく異なるものです。

創立費や開業費は、営業開始後の税金対策として有効なのでしっかりと把握しておきましょう。税金対策に役立つ創立費と開業費の違いと費用の計上方法について解説します。

開業費・創立費をしっかりと理解して利益を手元に残す

あなたが起業してビジネスを優位に進めるためには、税金に関する知識は必要不可欠です。

 

というのも、税務について知ることで、より多くの利益を手元に残すことができるようになるからです。特に起業して間もない時期は、少しの資金でもありがたいもの。ぜひ税務知識を身に付けてください。

 

起業をするにあたって必要な税金の知識はたくさんありますが、なかでも特に知っておきたいのが「開業費・創立費」です。この2つの費用は名前が似ているだけに、混同している人も少なくないでしょう。

 

これまで関わってきた起業家の方の多くが間違って計上していました。このコラムを読んで、ミスなく計上できるようにしていただければと思います。

 

会社を設立する場合、「会社設立準備」「設立登記」「営業開始」「決算」という4つのプロセスを経るのが一般的でしょう。

 

ざっくり言えば「創業費」は「設立準備」から「設立登記」までの費用、「開業費」は「設立登記」から「営業開始」までの費用です。次の段落から具体例を挙げて説明していきます。

 

創立費や開業費として計上できる費用はだいたい決まっている

上述したように、創立費と開業費は違います。

 

まず、それぞれの言葉の意味についてしっかりと理解しましょう。創立費とは、「会社設立に要した費用」のことです。具体的には下記のような費用が対象となります。

 

・定款作成費用

・定款認証手数料

・定款印紙税

・登録免許税

・行政書士などに対する報酬

・会社印作成費用

・株式募集そのほかにための広告費

・目論見書や株券などの印刷費用

・金融機関の取り扱い手数料

・創立総会に関する費用 など

 

 

次に「開業費」についてです。開業費は、「開業のために要した費用」のことです。具体的な費用を下記の通りです。

 

・土地や建物の賃借料

・広告宣伝費

・通信交通費

・消耗品費

・支払利息

・水道光熱費

・支払保険料

・従業員への給料 など

 

おそらく馴染みのある費用ばかりだと思います。これらの費用は、開業後であれば通常通り費用として計上することが可能ですが、開業前はビジネスを実際に行っていないため、「開業費」という勘定科目を別途設けています。

 

創立費と開業費の違いを理解し税金対策に役立てる

創立費や開業費について理解しておく必要がありますが、その理由は開業後の納税額の調整に役立つからです。

 

会社設立後の営業状態によって、賢く費用を計上して税金対策を行っていきましょう。このようなことが可能なのは、どちらも「繰延資産」であるからです。

 

「繰延資産」とは、支出の効果が1年以上に渡って継続するものです。そのため、支出した期に全額を費用として計上するのではなく、期をまたいで繰り延べることが認められています。

 

では「繰延資産」はいつ費用として計上できるのでしょうか。

 

答えから申し上げると「繰延資産」はいつでも好きなときに償却することができます。

 

例えば、赤字の場合は「繰延資産」として持っておき、黒字が多い期に一気に創立費および開業費を費用として計上することで、税金対策をすることが可能です。

 

このように創立費や開業費は起業家にとって利用価値の高いものですが、冒頭で述べたように間違って理解している人が多いのが実態です。

 

「バレないから大丈夫だろう」と計上していると、後で痛い目を見ることになります。特に借り入れを行う場合は注意が必要です。金融機関は粉飾決算を簡単に見抜きます。決して疑われることのないよう、しっかりと理解して進めましょう。

 

とはいえ、起業時は税金のことまで頭が回らないものです。その場合は企業の心強いパートナーである会計士や税理士に相談することをおすすめします。役に立つ情報を提供してくれるはずです。

 

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