企業は毎年決算を行い、決算書(決算報告書)を作成しなければなりません。決算書は税務署への申告に必要なだけでなく、債権者や金融機関にビジネスの状態を報告する大切な書類です。

正しく作成するためには、一人で処理するよりも、専門家の力を借りるほうが確実です。

決算の基礎知識

決算とは、会計年度の財務状態や経営成績を明らかにするための手続きです。

 

企業は、毎年、決算を行う必要があります。決算日から2カ月以内に決算書を作成して、決算書をもとに税金の確定申告書を作り、税務署への税務申告と税金の納付を行わなければなりません。

 

【決算日とは?】

「決算日」は期末に決算の手続きを行う日のことです。法人は企業ごとに決算日を定めることができ、3月決算(決算日3月31日)、6月決算(決算日6月30日)、9月決算(決算日9月30日)、12月決算(決算日12月31日)等が一般的です。国内の企業のおよそ2割は3月決算といわれています。

 

【決算書とは?】

「決算書」は、1年間のビジネスの結果をまとめた書類のことで「決算報告書」とも呼ばれます。税務署、取引先、金融機関、株主などに、企業の収支や資産状況を報告するために作成します。

決算書の開示義務

決算書には「開示義務」があることをご存じでしょうか?

 

企業は税務署に決算書を提出しなければなりません。上場企業の決算状況がマスコミで取り上げられたりするのは、決算書に開示義務があり、上場企業の決算書は金融庁のホームページで確認できるからです。また、会社法で「大会社」とされる企業は非上場であっても決算書の開示義務があります。

 

さらに、議決権比率3%以上の株主や債権者から請求があった場合は、すべての企業が決算書を開示しなければなりません。

 

税務署は決算報告書をもとに決算内容に不備がないか確認します。取引先や金融機関は取引や融資を行っても大丈夫なのか判断します。株主も会社の経営状態をチェックします。

 

このため、決算報告書は単に税務署への税務報告だけではなく、企業を経営していく上でとても大切な書類といえます。

決算書の作成

会社法によって定められている決算書は、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告、附属明細書で構成されます。これらの書類はすべての企業が作成しなければなりません。

 

【貸借対照表】

期末時点での企業の財政状態を明らかにする計算書類です。会社の資金調達とその運用状況をつかむことができます。

 

【損益計算書】

売上純利益、営業利益、当期純利益などが記載され、その事業年度の利益の大きさと、利益の発生プロセスを明らかにする計算書類です。

 

【株主資本等変動計算書】

利益をどのように使ったかを示す計算書類です。

 

【個別注記表】

上記の計算書類に記載した注記事項をまとめた計算書類です。

 

【事業報告】

その事業年度の事業の概況や企業の状況について記載する書類です。

 

これらの書類は決算日までの記帳を元に作成します。このため、申告書類を作成するためには、記帳がきちんと行われていることが最低条件となります。帳簿をつけることは会社法でも義務付けられているので、日頃からしっかりと記帳を行ってください。

 

記帳の際、売上や経費は「発生主義」で帳簿に記帳します。

 

商品やサービスを販売した場合は、料金が入金された日ではなく、請求をおこした日で記載してください。買掛金についても、支払日ではなく相手から請求された日付で記帳します。

 

発生主義で売上や経費が計上されているかどうかは、税務調査のチェックポイントでもあるので、十分に注意してください。

 

作成した帳簿は10年間保存しておくことが会社法で定められています。

 

一人で法人決算は可能か

個人事業の確定申告なら、税務署の確定申告相談などを活用しながら、なんとか自力で決算書、申告書の作成を行うことは可能です。

 

しかし、法人決算を行うためには、ある程度の簿記の知識が必要となります。

 

近年は会計ソフトの機能が格段に進化しているので、こうしたソフトを使用すれば、帳簿つけは一人でも比較的簡単にこなせます。

 

しかし、収入や支出の数字は正しく記帳されていても、仕訳が正しいかどうかは簿記の知識がないと判断できません。

 

インターネット上には、仕訳のノウハウを紹介するコンテンツが無数にありますが、中には信ぴょう性の低いものもあるので、うのみにするのはとても危険です。

 

さらに、記帳内容をもとに集計された結果が、問題がないかを判断するのは、やはり専門家でないと難しいというのが現状でしょう。

 

一人で悩まず専門家に相談

さまざまな現実を考え合わせると、法人決算を行う際はある程度は税理士など専門家の力を借りることをおすすめします。

 

日頃の記帳については一人でも可能なので、きちんと記帳を行った上で、仕訳などの不明点については自力で調べようとするより、信頼できる専門家に尋ねたほうが確実です。

 

一人で決算を行えば、費用は節約できますが、仕事に費やすべき時間を決算の調べ物に使ってしまい、苦労して得た情報が誤っているなどという状態は、絶対に避けるべきです。

 

税理士などと同じ会計ソフトで日頃の記帳を行えば、データを共有することができ、間違いや問題も早期に発見しやすくなります。データを更新した際に、お互いがすぐに確認できれば、決算時の書類作成もスムーズになります。

 

企業の決算が集中する3月には、多くの税理士が多忙を極めます。できれば顧問契約を結んで月例の相談ができる状態にしておくのが理想です。

 

近年は、顧問税理士がついて正しい決算申告書が作成されていないと、銀行融資を受けるのが難しい傾向もあるので、積極的にアウトソーシングを検討してみてください。

 

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