クラウド会計ソフトのなかでも高いシェアを誇るのが、「freee」および「MFクラウド」です。両ソフトは設計思想に明確な違いが見られます。クラウド会計ソフトを選ぶ際は設計思想を理解し、自社にフィットしているかしっかりと吟味するのがよいでしょう。

今回は、設計思想に触れつつ、両ソフトの機能について比較します。

クラウド会計ソフトはfreeeまたはMFクラウドから選ぶとよい

クラウド会計ソフトは「freee」「弥生会計オンライン」「MFクラウド会計」「ネットde会計」のシェアが高い状況です。なかでも「freee」および「MFクラウド」が勢力を伸ばしています。

当事務所はさまざまなクラウド会計ソフトを使ってきました。こうしたなかで、両ソフトの利便性はかなり高いと感じています。クラウド会計ソフトを検討する際は、「freee」および「MFクラウド」から始めるとよいでしょう。

クラウド会計ソフトを選ぶ際は、そのソフトの設計思想について把握しておくとスムーズです。

なぜなら、「どんな点を重要視しているソフトなのか」を理解することができるからです。

自分が重要視していることと、クラウド会計ソフトのそれが一致していればきっと相性のよいソフトだと言えるでしょう。

例えば、簿記を熟知していて、インストール型の会計ソフトと同様の使い方をクラウド会計ソフトでもしたい場合は、インストール型の会計ソフトと同じような操作性を持つクラウド会計ソフトを選べばよいわけです。

MFクラウドとfreeeの設計思想を理解する

さて、前置きが長くなりましたが、ここでは「freee」と「MFクラウド」の設計思想について書いておきましょう。

「freee」は従来の会計ソフトと一線を画す仕様になっています。具体的には、簿記の知識がまったくない人でも使えるようになっています。おそらく、誰でも簡単に使えることを設計思想としているのでしょう。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、一度設定を行えば、無理なく使いこなすことができます。

一方の「MFクラウド」はどうでしょうか。「MFクラウド」の設計思想は、「従来の会計ソフトの延長上」で使えることです。

つまり、インストール型の会計ソフトの操作性は担保しつつ、クラウド会計ならではの利便性を付加した形になっています。

インストール型の会計ソフトにおいては、ある程度の簿記の知識が必須でした。それは「MFクラウド」でも同様です。もし、あなたがインストール型の会計ソフトに慣れ親しんでいるのであれば、MFクラウドの選択をおすすめします。そうでない人は、「freee」から検討するのがよいでしょう。

freeeとMFクラウドの機能を比較

設計思想を理解したところで、「freee」と「MFクラウド」の機能について比較してみます。

まず両ソフトに標準装備されているのが、「自動取り込み機能」および「分析機能」です。自動取り込み機能は、金融機関やクレジットカードと連携させることで、取引データを自動で取り込む機能のことです。

自動取り込み機能においては、金融機関やクレジットカードが両ソフトに対応しているかどうかが焦点となるでしょう。

「freee」は3000以上の金融機関、130以上のクレジットカードと連携しています。「MFクラウド」は金融機関2000以上、クレジットカードで140以上となっています。

連携している金融機関の数では「freee」に軍配が上がりますが、ほぼ遜色ないと考えてよいでしょう。

なお、自動仕訳において「freee」は、特許技術を駆使した独自機能を持っています。それは1度発生した取引を次回から自動で仕訳するという「自動仕訳機能」です。

例えば、「タクシー代は旅費交通費」と1度「freee」に取引データを登録すると、その後は自動で、同じ取引データが入力された際は旅費交通費と認識します。

何度も同じ仕訳をすることに辟易している人は多いと思いますが、この機能を使えばそのわずらわしさから解放されます。

「分析機能」は企業経営者にとって欠かせないものでしょう。「freee」と「MFクラウド」で使える分析機能は以下の通りです。見ていただくとわかるように、分析機能については「freee」に軍配が上がるでしょう。

【freee】
試算表、月次推移分析、前期比較、部門管理、取引先別・品目別・プロジェクト別の利益管理

【MFクラウド】
試算表、月次推移分析、前期比較、部門管理

両者の最も大きな違いは請求書機能の有無でしょう。「freee」においては請求書機能が標準装備されていますが、「MFクラウド」は別契約となっています。

小売業や卸売業をはじめとした請求書を大量に発行する企業の場合、「freee」のほうが使いやすいと言えるかもしれません。

さらに、両ソフトは料金体系に差があります。「MFクラウド」を法人で使用する場合、利用人数によって、段階的に料金が変化する体系になっています(バリューパック)。

一方の「freee」はミニマムとベーシックの2プラン。「freee」は月額2380円から使える一方で、MFクラウドは月額3900円からとなります。
※MFクラウドで会計のみを使用出来るプランも用意されているので請求書や給与の管理は別でやるというかたはバリューパックではなく会計のみのプランを検討されてもよいと思います。

クラウド会計ソフトは一見すると同じように見えますが、細部を観察すると違いがわかってきます。不明点は各社に問い合わせるほか、クラウド会計ソフトに詳しい会計士や税理士に聞くとよいでしょう。

 

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